低温製法のフードはなぜ体にやさしいの?
投稿者 :KobayashiMay on
熱の加え方で、食べ物の性質が変わる
私が住んでいるアメリカでは、近年フレッシュ系(ライトクック)や、乾燥系(ディハイドレーテッド)など、フードの加工アプローチそのものに注目したフードが広がっています。
日本でも「原料」だけでなく「どう作られているか」に目を向ける飼い主さんが少しずつ増えてきました。 その選択肢のひとつが、『低温製法』。
焼くでもない、生でもない。 素材のよさを残しながら、やさしく火を入れる“中間のごはん”です。
「焼かずに、煮過ぎずに、素材が自然にほどける」──そんな温度感を目指した火入れです。
低温製法の核心
低温製法は、ただ「温度を低くする」ための技術ではありません。 いちばんの核心は、素材に入れる熱を“急がせない”ことです。
高温で一気に仕上げる加工は、手早く作れて、保存しやすく、毎回同じ品質になりやすいのが強みです。 その一方で、熱が強いほど、香りや一部の栄養、脂の鮮度など“繊細な部分”は変化しやすくなります。
低温製法は、その変化が起こりやすい条件を避けながら、必要な分だけ、丁寧に火を通すという考え方です。 だからこそ低温製法のごはんは、
※素材の香りや旨みが立ちやすい ※糖化(焦げに近い反応)が進む条件を避けやすい ※脂の鮮度や風味を活かしやすい ※粒の食感が“スナックのような膨化構造”になりにくい
といった、毎日続けるごはんとしての“やさしさ”につながります。
低温製法は、特別なことをするためではなく、「ウチの子に、できるだけ自然に近い形で栄養を届けたい!」という飼い主さまの気持ちを、作り方で支えるための選択肢です。
では、低温製法はなぜ愛犬・愛猫の体に優しいのか、箇条書きにして詳細にご説明していきますね。
① 素材の栄養と香りが“生きる”

低温でじっくり火を入れる作り方は、高温で一気に加熱するのに比べて、熱に繊細な栄養素が残りやすく、香りも失われにくいのが魅力です。
ビタミンB群やアミノ酸(タウリンを含む)などは、熱のかけ方で“残り方”が変わるため、低温域で丁寧に仕上げることは、素材の良さを活かす選択肢になります。
② AGEsが増える条件を避けやすい

----目に見えない壁 AGEs(終末糖化産物)----
エクストルージョン製法(高温・高圧で一気に仕上げる)のフードに比べて、低温製法は “ゆっくり、ていねい” に火を入れる作り方です。
高温の条件では、糖とたんぱくが反応してAGEs(焦げに近い糖化由来の成分)が増えやすくなります。 低温製法はそうした反応が進む条件を避けやすいのが特性です。
腎臓や肝臓が気になる子ほど、毎日の積み重ねが大切。 シニア期に入った子や、トラブルに悩んでいたり、体調に気を配りたい子にとって、「加工由来の余計な成分を摂取しない」ことは、“ごはんの選び方”のひとつになります。
③ 脂質が酸化しにくい

----“油の鮮度”は、目に見えないけれど体感に出やすい----
ドライフードの「脂質(油)」は、犬猫にとって大切なエネルギー源であり、皮膚や被毛のコンディションにも関わる重要な栄養です。
ただ一方で、油はとても繊細で、熱・酸素・光の影響を受けると少しずつ酸化が進み、いわゆる過酸化脂質(酸化した油)が増えていきます。 過酸化脂質は、食べた瞬間に急激に影響が出るような強いものではありません。 でも、食事として継続して摂取し続けていくと、
※食いつきが落ちる(風味が落ちる) ※便が不安定になる/吐き戻しやすくなる(胃腸が繊細な子で体感が出ることがある) ※皮膚・被毛の調子がゆらぎやすい(乾燥・ベタつきなどの“コンディション”として出ることがある)
といった形で、「なんとなく不調」が起きる場合があります(もちろん個体差はあります)。
低温製法は、高温で一気に仕上げる工程を避けるので、油が酸化する環境を作りにくいのがメリットです。
④ 胃で膨らみにくい→消化の負担感が少ない

----消化の負担を減らす方向へのサポート----
エクストルージョン製法の粒は、多孔質(スポンジ状)になりやすいのが特徴です。 そのため食後に水分を取り込み、“かさ(体積)”が増えやすい傾向があります。
低温製法の粒は、エクストルージョン製法のような“膨らませて作る構造”ではないため、胃の中で急に膨らみにくいのが特長です。 早食いの子や胃がデリケートな子で、食後の吐き戻しやゲップなどの症状が気になる時に、特におすすめです。
----胃腸が繊細な子の“選択肢”のひとつに!----
加熱はタンパク質の性質を変えます。 適切な加熱は、タンパク質の変性などにより消化性を高める方向に働くことがあります。
一方で、加熱条件やレシピ(糖質源との組み合わせなど)によっては、メイラード反応が進み、アミノ酸(特にリシン)の“利用可能性”が下がるなど、タンパク質の質に影響が出る場合も知られています。
低温製法は、こうした反応が進みがちな条件を避けやすいため、タンパク質の変化が穏やかになるという特性があります。 その結果として、子犬・シニア・胃腸が繊細な子では、食後の様子(便の状態、食後の不快感など)が落ち着くケースもあります。
⑤オイルコーティングに過度に依存しない

----素材の香りで食欲増進を目指す----
多くのエクストルージョン製フードは、高温の工程で弱くなりがちな香りを補うために、仕上げに油やフレーバーを吹きかけて香りと食いつきを高めています。
この「表面の油」は空気や光に触れやすく、酸化が進みやすい要因となり得ます。 低温製法フードは、素材そのものの香りが残るので、オイルコーティングに頼らなくても食いつきを確保しやすいのが特長です。
粒の外側に出ている油が少なくなる分、開封後の酸化リスクも減らしやすいのは、毎日続けるフードとしてうれしい特徴と言えます。
低温製法は“科学に裏づけされたやさしさ”
生でもない。 強い高温加工だけでもない。
その中間で、素材にゆっくり熱を入れるつくり方が「低温製法」です。
熱のかけ方をおだやかにすることで、消化や代謝、年齢とともに気になりやすい臓器のこと、そして腸内環境への配慮もしやすくなる── そんな「毎日のごはんを、少しでもやさしくしたい!」と願う時の選択肢のひとつが低温製法だと、私たちは考えています。
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