腎臓が弱った時にベジタリアンフードを試すのは何故?

投稿者 :KobayashiMay on

腎臓が弱った時に
ベジタリアンフードを試すのは何故?


腎臓のトラブルがあるわんちゃんに「ベジタリアンドッグフード」を試してみることをお勧めするのには訳があります。
ただ単にタンパク質を制限して腎臓を守ろうと考える前に、腎臓とタンパク質の関係を考える必要がありそうです。

ではまず、腎臓はどんな働きをする臓器なのか考えてみましょう。

==腎臓の働き==

一般的には「濾過」の働きをする臓器と言われます。

体の老廃物は、「便」や「尿」という形で体の外に排泄されます。
便として出ていくのは食べ物のカスや腸内細菌の死骸で、尿として排泄されるのは、血液に含まれる細胞のゴミや体内毒素と言われるのものです。

尿として排泄されるものを濾過してくれているのが腎臓ですが、「ああ、オシッコに関わる臓器ね!」と一言で済まされないほど腎臓の働きは多岐に亘ります。

腎臓は、体内環境を一定に保つ(体の恒常性をキープする)働きをしていますし、ビタミンDを活性化する、血圧を調整する、エリスロポエチンという増血ホルモンを分泌したりしています。

腎機能が低下してビタミンDを活性化できなくなると、腸管でカルシウムの吸収ができにくくなり、結果的に骨が脆くなってしまいます。腎機能が落ちたら骨粗鬆症を招くというのは、即座にその関連性を想像しにくい現象ですね。

また、腎臓トラブルで増血ホルモンのエリスロポエチンの分泌が減ると、赤血球を作る能力が低下して、結果的に貧血を招くこともあります。

このように、腎臓は毎日多くの働きを担っています。
老廃物を排泄する際、便が数日出ない便秘状態でもすぐに生死に関わることはないと思いますが、数日に亘って全く尿が出ない場合は、命に危険が及びます。
そのくらい腎臓機能低下は憂慮すべき問題なのです。

==タンパク質は腎臓に悪い?==

腎臓トラブルの際に、低タンパクの食事が推奨されるのを聞いたことがあるかもしれません。 その理由の一つが、タンパク質の排泄に関係しています。

タンパク質は尿素窒素として排泄されるのですが、機能が低下した腎臓は尿素を尿中へ排泄できなくなり、血液中の尿素窒素の値が上昇してしまいます。検査でBUN値が高いと言われるのがこの現象です。

また、タンパク質に多く含まれるメチオニンは、過剰摂取により腎臓の尿細管に悪影響を与えるということが判明してきました。メチオニンの摂取を制限するために、低タンパクの食事が推奨されるという訳です。
しかし、メチオニンは必須アミノ酸の一つで成長に欠かせない成分でもあるため、タンパク質を無闇に制限するのは好ましくありません。

メチオニンの中でも植物性の食品から摂取できるメチオニンは、ほぼ吸収されないことが分かっています。
植物性の食品をタンパク源とすることで、メチオニンの過剰摂取を防ぎながらタンパク質を摂取することが可能となります。

タンパク質は全てダメ!と制限するのではなく、腎臓に負担の少ないタンパク質の種類を知った上で、上手にタンパク質を摂取することは可能です。

腎臓は一度細胞が死んでしまうと再生しない臓器です。
タンパク質を摂りながら腎臓も保護できるる方法を探っていきたいですね。

==腎臓の大敵リン==

リンは、骨を形成する大切なミネラルです。リン酸カルシウム(骨)として存在する場合は問題ないのですが、血中にリンとして溶け出すと腎臓の毛細管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こし、腎機能低下を招きます。

ですから、腎臓トラブルのわんちゃんは、リンが血中に存在しない状態が望ましいのですが、リンを含む食品を食べれば体内に取り込まれます。

リンがどこから来るのかというと、例えば、与えているフードの原料が明らかになっていない(ミールと表示される肉骨粉を使っている)場合や、着色料や保存料、フレーバーなどの合成添加物を使っていたら、「無機リン」が含まれる可能性が高いでしょう。
上に挙げたような食品添加物に含まれる「無機リン」は、腸管での吸収率が90%以上で、腎臓にダイレクトに影響を与えます。
腎臓トラブルの時に、添加物が使われたフードを与えるのはとてつもなく危険だと言えそうです。
(もちろん、まだ腎臓トラブルとは無縁の、一見健康に見えるわんちゃんの場合でも、添加物を使ったフードは避けるのがオススメです。)

添加物に含まれる(絶対に避けたい!→)「無機リン」の他に、肉や野菜に含まれる「有機リン」があります。

「有機リン」には動物性食品に含まれる有機リンと植物性食品に含まれる有機リンがあり、それぞれの吸収率が違います。

動物性食品のリンは吸収率が40〜60%、植物性食品のリンの吸収率は20〜40%と言われます。
腎臓トラブルのわんちゃんは、リンの摂取を減らしつつタンパク質も摂取したいので、植物性タンパク質が適しています。

ベジタリアンフードのタンパク質は植物性タンパク質です。
ベジタリアンフードの大豆に含まれるリンは、主にフィチン酸として存在し、ほぼ吸収されません。

==腎臓が弱った時のベジタリアンフードの訳==

以上のような訳で、腎臓トラブルのわんちゃんは、充分なタンパク質を摂取しながらメチオニンやリンの摂取を抑えられるベジタリアンフードを試してみてください。
ヤラーのベジタリアンドッグフードは、犬の食事としてはとてもユニークなラインナップかもしれません。
動物性たんぱく質に反応してしまう子はもちろんですが、腎臓トラブルの際に有益な食事の選択肢となります。

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